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吉井 文男
原子力システムニュース, 15(2), p.31 - 37, 2004/09
最近技術移転した3つの製品について紹介する。(1)セルロースの誘導体であるカルボキシメチルセルロース(CMC)が濃度10%以上のペースト状照射により橋かけ反応を起こすことを見いだした。そのゲルを充填したマットが床ずれ防止に有効であることを実証し、民間企業が昨年の5月から販売を開始した。(2)橋かけ助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を添加したポリ乳酸は、30kGyの比較的に低線量で橋かけし、耐熱性が向上したため、熱収縮チューブに応用できた。(3)ポリビニルアルコールを主成分とする電子線橋かけハイドロゲルが創傷被覆材に有効であることをゲル物性測定や臨床試験から明らかにし、実用化した。
吉井 文男
放射線化学, (78), p.26 - 34, 2004/09
多糖誘導体であるカルボキシメチルセルロース(CMC)のペースト状放射線橋かけとその応用,デンプンを原料とするポリ乳酸の橋かけによる熱収縮チューブへの開発、及びハイドロゲル創傷被覆材について、実用化までの技術開発を記した。CMCは濃度10%以上のペースト状で放射線橋かけを起こし、それはカルボキシメチルの置換度や分子量により影響される。橋かけCMCは、手術中に起こる床ずれを防止するマットに応用でき、実用化した。また、CMCゲルは家畜排泄物を効率的に発酵させるための水分制御剤に有効であることを実証した。橋かけポリ乳酸は耐熱性が向上し、熱収縮チューブに応用し、生分解性で透明性のよい製品が得られた。ポリビニルアルコールの放射線合成ハイドロゲルを傷にはる創被覆材に有効であることを実証し、厚生労働省から認可が得られ販売が開始された。
Wach, R. A.*; 三友 宏志*; 吉井 文男; 久米 民和
Journal of Applied Polymer Science, 81(12), p.3030 - 3037, 2001/09
被引用回数:115 パーセンタイル:95.3(Polymer Science)カルボキシメチルセルロース(CMC)が水とのペースト状照射で橋かけすることを見いだした。本稿では種々の条件下で照射した場合の橋かけ挙動について述べる。(1)置換度が高いほど橋かけしやすい。(2)ペースト状照射では、50~60%の高濃度ほど橋かけしやすく95%のゲル分率が得られる。(3)含水量は最高で1グラムの乾燥ゲルが800gの水を吸収する。(4)塩濃度が増すと吸収率は低下し、1グラムのドライゲルが約100gの水を吸収する。これは市販のアクリル酸ソーダの吸水性の値よりも大きい。(5)置換度が高いほど橋かけしやすいことから、橋かけ点にカルボキシメチル基が寄与していると推定できる。
Fei, B.*; Wach, R. A.*; 三友 宏志*; 吉井 文男; 久米 民和
Journal of Applied Polymer Science, 78(2), p.278 - 283, 2000/10
被引用回数:192 パーセンタイル:98.21(Polymer Science)生分解性ポリマーの放射線改質の一環として、セルロース誘導体のカルボキシメチルセルロース(CMC)の放射線橋かけについて研究した結果、以下の事実が明らかとなった。(1)固体状及び5%以下の水溶液では分解が起こる。(2)10%以上のペースト状の高濃度になると橋かけが明瞭に観察される。(3)橋かけには置換度に大きく依存し、置換度が高いほど橋かけしやすい。(4)置換度が2.2であると、60%濃度のペーストをつくることができ、最も橋かけしやすい。(5)橋かけCMCは吸水し、ハイドロゲルとなる。強固な形状を保持したままの吸水量は乾燥ゲル1gに対し、水300gである。
吉井 文男
放射線と産業, (87), p.55 - 58, 2000/09
放射線橋かけが難しいと言われていたカルボキシメチルセルロース(CMC)がペースト状で照射すると橋かけするという画期的事実を見いだした。照射橋かけ後は、水に浸漬すると膨潤し、ハイドロゲルとなる。橋かけはエーテル化度(置換度, DS)が大きく、高濃度のペースト状ほど起きやすい。本稿では橋かけへのDSや濃度の関係を調べた結果を紹介する。